予防歯科

予防歯科について

当院の予防歯科

定期的なクリーニングを行うことで歯周病が予防できることはエビデンスとして確立されています。ドクターによるチェックと、衛生士によるクリーニングとチェックによるダブルチェックが、問題点の発見には一番確実な方法であると考えています。

虫歯の予防

残念ながら定期的にクリーニングに通うことだけでは虫歯は予防しきれません。科学的にも立証されていないのが現状です。毎日の毎食後に歯医者に通うことは現実的にできないので、ご自身の歯ブラシが一番の虫歯予防になります。

ただ、リスクが高いところを予想して重点的に予防する方法を指導したり、リスク低減の処置をすることができます。

歯石やバイオフィルム

歯石とは

プラークが唾液中のカルシウム、リンによって硬くなったものが歯石です。歯石は軽石のように穴がいっぱい空いているので、その中に悪いバイ菌が住み着きます。その細菌が出す毒素で骨を溶かして歯周病の原因となります。

歯ブラシでは除去できない硬さなので、歯科医院で専用の器具で除去する必要があります。

バイオフィルムとは

お風呂につくピンクのぬめぬめもバイオフィルムです。さまざまな細菌が集まってできる膜状の粘着物をいいます。歯の表面のバイオフィルムは歯ブラシで除去できます。

歯茎(歯周ポケット)の検査

歯周ポケットは健康な歯茎では1〜2mmになります。さらに深くなったり、充血して炎症がみられると歯石による歯周病になっている可能性があります。当院では定期的に記録して、進行やリスクがないかチェックしていきます。

クリーニングとPMTC

クリーニングについて

歯の表面のバイオフィルムや堆積した歯石を除去して、専用のブラシで磨いて汚れが付着しにくい状態を作っていきます。

クリーニングのメリット

• 定期的に行うことで歯周病の予防ができるというエビデンスがあります。
• 口臭の予防や、口腔内細菌叢（フローラ）の改善も期待できます。

PMTCについて

PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)は、保険診療ではできない専門の歯磨剤や器具を使って歯の清掃を行うことです。

PMTCの流れ

超音波スケーラーなどによる歯石の除去、専用歯磨剤による研磨、着色が強い場合はエアーフローを用いるステイン除去も行います。

エアフローについて

予防歯科における新しい
クリーニング技術

エアフローは、微細なパウダー粒子と水を圧縮空気で歯の表面に噴射することで、歯垢や着色を除去する予防歯科の技術です。

この技術の最大の特徴は、歯や歯茎への負担が少ないことです。従来のスケーラーでは金属の先端で歯の表面を削り取るため、エナメル質に傷がつく可能性がありましたが、エアフローでは水とパウダーの柔らかい粒子を使うため、歯の表面を傷つけずに清掃できます。また、器具が直接触れないため、歯茎の境目や歯と歯の間など、届きにくい部分にもアプローチしやすい利点があります。

エアフローで除去できるもの

エアフローが最も効果を発揮するのは「バイオフィルム」の除去です。バイオフィルムとは、細菌が歯の表面に形成する粘着性の膜状構造物で、いわゆる歯垢の本体です。この膜は単なる細菌の集まりではなく、細菌が作り出す多糖体（ネバネバした物質）に守られた組織化された集団で、通常の歯磨きでは完全に除去することが難しく、時間が経つと歯石へと変化していきます。

エアフローのパウダー粒子は、このバイオフィルムの構造を物理的に破壊し、歯面から剥がし取ります。特に歯と歯茎の境目にある「歯肉溝」は歯周病の初期段階で細菌が繁殖する場所ですが、エアフローはこの部分のバイオフィルムを効果的に除去できます。また、コーヒーや紅茶、タバコなどによる着色汚れも落とすことができます。定期的なバイオフィルムの除去により、口腔内の細菌数を低く保ち、虫歯と歯周病の予防につながります。

エアフローのメリットと適用範囲

患者さんにとってのエアフローの主なメリットは、治療時の快適性です。従来のスケーリングでは金属器具が歯や歯茎に触れる際に不快感や痛みを感じることがありましたが、エアフローでは器具が直接触れないため、痛みをほとんど感じません。また、施術時間も短く、インプラントや矯正装置がある場合でも、これらを傷つけることなく周囲を清掃できます。

ただし、すでに固く石灰化した歯石に対しては効果が限定的で、この場合は従来のスケーリングが必要です。また、重度の歯周病で歯茎が大きく後退している場合や、知覚過敏が強い場合は、刺激が不快に感じられることがあります。予防歯科における定期的なメンテナンスでは、エアフローと従来の器具を組み合わせることで、より効果的な口腔衛生管理が可能になります。